耳垢を自分でごっそり取るのは問題ない?
適切な耳掃除の方法も解説
この記事では、耳垢をごっそり自分で取ることに問題はないか解説します。
耳の痒みや耳垢が気になってしまい、頻繁に耳掃除をする人もいるでしょう。
しかし、不適切な耳掃除は、耳を傷付けて皮膚トラブルの原因となるおそれがあります。
この記事では、耳垢をごっそり取るのが良いとはいえない理由を、耳垢の基礎知識と合わせて解説します。
耳垢が溜まりやすい人の特徴や適切な耳掃除の方法もお伝えするので、耳の痒みに悩む人はぜひこの記事を参考にしてください。
【この記事でわかること】 |
耳垢に関して知っておきたい基礎知識
ここでは、耳垢に関する基礎知識を解説します。
● 乾性耳垢と湿性耳垢
● 耳垢は自然に取れる
上記2点の基礎知識を順に確認しましょう。
乾性耳垢と湿性耳垢
耳垢は、耳の外耳道と呼ばれる箇所から出た分泌物と、剥がれ落ちた古い皮膚やほこりなどが混ざってできたものです。
耳垢の形状は体質によって異なり、大きく以下2種類があります。
● カサカサとした白や黄色の乾性耳垢(かんせいじこう)
● ベトベトした黄色や茶褐色の湿性耳垢(しっせいじこう)
どちらの耳垢になるかは遺伝的要素によって決定しますが、日本人の7割程度は乾性耳垢とされています。
※参考1:耳垢丨 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
※参考2:耳垢(みみあか)と認知機能の意外な関係 【認知症予防】丨国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター
※参考3:耳垢丨公益財団法人 長寿科学振興財団
耳垢は自然に取れる
身体の皮膚には、一定の周期で新しく生まれ変わる”ターンオーバー”という機能が備わっています。
新しい皮膚が下からできあがり、古い皮膚が剥がれ落ちる仕組みです。
耳の中の皮膚にもターンオーバーの機能が働くため、古くなった皮膚が剥がれ落ちてほこりと一緒に耳の外へ排出されます。
本来ならターンオーバーの働きで自然と耳垢が取れるため、わざわざ耳掃除をする必要はありません。
耳垢はごっそり取るのが良いとは限らない
耳の痒みが気になるときに、耳垢をごっそり取りたいと思う人もいるでしょう。
ただし、耳垢をごっそりと取ることは、必ずしも良いとは限りません。
過剰な量の耳垢がある場合、外耳道の疾患にかかっているおそれがあります。
耳鼻科などで耳垢を取ってもらえば疾患に気付く可能性が高いといえますが、自分で取ってしまうと通常の耳垢と混同し、病気にかかっていることに気付きにくいでしょう。
また、過度に耳掃除をすると、外耳道に傷を付けたり殺菌作用を持つ耳垢を取りすぎたりして、外耳道炎の原因となる場合があります。
ここでは、耳垢をごっそりと取るのが良いとは限らない理由について、以下2点から詳しく解説します。
● 耳垢がごっそり取れたときに起こりうる病気
● 耳垢や耳掃除が原因で起こる病気
それぞれ見ていきましょう。
※参考1:耳垢塞栓(耳あか、耳かき)丨順天堂大学医学部附属順天堂医院
※参考2:高齢者の外耳道衛生丨国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター
耳垢がごっそり取れたときに起こりうる病気
無理に取ろうとした訳ではないのに耳垢がごっそりと取れた場合、病気が原因であるおそれがあります。
耳垢が増える病気として、以下2つが挙げられます。
病気の種類 | 症状 |
外耳道真菌症 |
● 酒かすのような黒や青緑などの耳垢が出る ● 痒みや痛みを伴う |
外耳道真珠腫 |
● 耳だれや赤くやわらかい組織が出てくる ● 聞こえが悪くなって痛みを伴う |
外耳道真菌症(がいじどうしんきんしょう)は、外耳道に真菌(カビ)による炎症が起きている状態です。
耳掃除などの刺激によって外耳に傷が付き、傷口から真菌が侵入・増殖することで起こります。
黒や青緑などの耳垢や耳だれが出てくることで異変に気付く場合がほとんどですが、水分が抜けている状態なら正常な耳垢との区別が付きにくいでしょう。
自然治癒は難しいため、耳鼻科で診察を受けて塗り薬や点耳薬を使用しましょう。
外耳道真珠腫(がいじどうしんじゅしゅ)は、同じく外耳道に起こる炎症です。
耳の奥に耳垢が溜まることで炎症が起こり、皮膚の奥にある外耳の骨を溶かしてしまいます。
軽度であれば、耳垢を除去して抗生剤やステロイド軟膏の使用で様子を見ますが、骨が壊死しているような状態では手術が必要となるため、早めの受診・治療が必須です。
※参考1:外耳道真菌症の診断と治療丨J-Stage
※参考2:外耳道真菌症丨日本福祉大学
※参考3:外耳道真珠腫丨日本福祉大学
※参考4:真珠腫性中耳炎丨順天堂大学医学部附属順天堂医院 耳鼻咽喉・頭頸科
※参考5:初めての耳科学会セッション1 外耳道真珠腫手術症例の検討丨J-Stage
耳垢や耳掃除が原因で起こる病気
耳垢が溜まったり過剰に耳掃除をしたりすることで、かえって病気になる場合があります。
耳掃除の後に不調が生じた場合、以下3つの病気のおそれがあります。
病名 | 症状 |
耳垢栓塞 | 耳の奥に耳垢が溜まり、不快感や聞こえにくさ、耳鳴りなどが起こる |
外耳炎 | 外耳に炎症が生じ、痛みや耳だれを伴う |
外耳道湿疹 | 外耳に炎症が生じた結果、外耳道の皮膚が荒れて湿疹ができる |
耳垢栓塞(じこうせんそく)は、耳掃除の際に耳の奥へ耳垢が押し込まれることで発生します。
聞こえにくさや不快感などの症状が現れることがあり、入浴や水泳などで水分を含むと痛みを伴うケースがあります。
また、外耳炎は、綿棒の使用や耳掃除でできた傷が原因で、細菌や真菌に感染し起こる炎症です。
治療には抗菌薬や抗真菌薬などを使いますが、炎症の度合いが強ければ抗菌薬を内服することもあるでしょう。
外耳道湿疹は外耳道炎の1種であり、1週間程度で症状が軽快するのが一般的です。
できるだけ耳に触れないようにして、耳への刺激を避けましょう。
※参考1:耳垢塞栓(耳あか、耳かき)丨順天堂大学医学部附属順天堂医院 耳鼻咽喉・頭頸科
※参考2:外耳炎(スイマーズイヤー)丨MSDマニュアル 家庭版
耳垢が溜まりやすい人の特徴
本来、耳垢は自然と排出されるため耳掃除をする必要はありません。
しかし、耳垢の排出が妨げられている場合や、耳の中のターンオーバーが遅く耳垢の排出に時間がかかる場合、耳垢が溜まりやすくなります。
以下に該当する人は耳垢が溜まりやすいため、注意しましょう。
● 高齢者
● アトピー性皮膚炎など皮膚疾患がある人
● 騒音下での仕事に従事する人
● 日常的に補聴器を使用している人
● 耳栓を使用している人
● 耳の奥までしっかり差し込むイヤホンを使用している人
● サーフィン歴が長い人
高齢の場合、若い頃に比べて新陳代謝が活発ではないため、ターンオーバーの周期が遅くなります。
耳垢が排出されにくく、溜まりやすいでしょう。
イヤホンや耳栓、補聴器などを日常的に使用して耳垢が奥に押し込まれてしまう場合、排出が妨げられて溜まりやすくなります。
また、サーフィン歴が長い人は”サーファーズイヤー”に注意しなければなりません。
サーファーズイヤーとは、外耳道に冷水や冷風などの刺激が長期間加わることで外耳道の骨が増殖し、耳の穴が狭くなる症状です。
耳の穴が50%ほど塞がった状態なら不快感を伴う程度ですが、8〜9割ほど塞がってしまうと、耳垢が溜まりやすくなったり難聴や痛みが生じたりします。
長期間サーフィンを続けている人は、症状がなくても念のために耳鼻科を受診することがおすすめです。
※参考:サーファーズイヤー丨一般社団法人 横浜市医師会
耳垢が溜まったときの適切な耳掃除の方法
ここでは、耳垢が溜まったときに実施するべき適切な耳掃除の方法を見ていきましょう。
● 月に1〜2回の頻度で行う
● 周囲に人や物がない場所で行う
● なるべく耳かきを使用しない
● 必要に応じて医療機関を受診する
上記4つの方法をそれぞれ解説します。
月に1〜2回の頻度で行う
耳掃除は月に1〜2回の頻度に抑えましょう。
頻繁に耳掃除をするとかえって耳の中を傷付けてしまい、炎症に繋がるおそれがあります。
傷口から殺菌が入り込むと炎症が悪化するので、耳掃除のしすぎは避けましょう。
つい気になって耳掃除をしたくなる人は、耳掃除をする日を決めておけば頻度を守れます。
周囲に人や物がない場所で行う
耳掃除をする際は、安定した姿勢を保てる場所を選んで周囲に人や物がないか確認しましょう。
身体のバランスを崩したり腕に人や物が当たったりすると、鼓膜を傷付けるおそれがあります。
東京都消防庁によると、5年間で200人以上が耳掃除中の怪我によって救急搬送されたケースがありました。
中でも4歳以下の事故が多く、小さな子どもがいる家庭では注意する必要があります。
ぶつかった勢いが強ければ鼓膜に穴が開いてしまい、聴力の低下に繋がるおそれもあるでしょう。
※参考:Vol.620 耳掃除中のけがに注意!丨消費者庁
なるべく耳かきを使用しない
先述の通り、耳の中の傷は病気の原因になるおそれがあるため、耳にやさしい耳掃除の方法を選ぶことが大切です。
市販の耳かきは外耳道を痛めやすく、出血するおそれがあります。
皮膚科では綿棒でやさしく耳の周りを掃除する方法が推奨されていますが、綿棒を耳の奥まで使うと耳垢を押し込んでしまうでしょう。
耳にやさしく耳掃除をしたいなら、快適生活の「電動らくらく耳そうじ器」がおすすめです。
耳の中に貼り付いた耳垢を振動で落として吸引するため、耳かきより少ない負担で掃除できます。
また、ストッパー付きで、入り口から25mm以上奥に入り込まない設計も、安心して使用できるポイントです。
付属のブラシで簡単にお手入れできるので、衛生面が気になる人でも気軽にご利用いただけます。
必要に応じて医療機関を受診する
耳の不調や心配なことがあれば、自己判断で様子を見ずに医療機関を受診しましょう。
耳の中は自分で見られないので、傷や炎症の状態が分かりません。
医療機関なら、拡大鏡を使って耳の中を観察し、専門の医療器具を用いて耳垢を取り除けます。
また、耳掃除は医療行為の1つであるため、痛みや耳垢の異常などのトラブルがなくても保険診療が適用されます。
耳掃除を目的に受診した場合でも、外耳炎や中耳炎などの病気が見つかることもあるでしょう。
少しでも不安なことや普段と違うことがあれば、医療機関を受診してください。
耳垢に関するよくある質問
ここでは、耳垢に関するよくある質問に回答します。
● 耳垢が塊で出てきたのは何かの病気?
● 耳垢の色によって違いはある?
● お風呂のあと耳が聞こえにくくなるのはなぜ?
上記3つの質問に回答するので、順に確認しましょう。
耳垢が塊で出てきたのは何かの病気?
耳垢は自然と排出されるべきものですので、大きな塊で出てくることはほとんどありません。
万が一塊で出てきた場合、何らかの病気によって耳垢が増えて中で固まっているおそれがあります。
しかし、耳の中の状態を自分で確認することは難しく、無理に耳垢を取り除こうとすると、耳の中を傷付けて耳垢栓塞や外耳炎を引き起こすおそれがあります。
医療機関で状態を確認してもらい、病気の発見に繋げましょう。
耳垢の色によって違いはある?
耳垢は、一般的には白や黄色、茶色などの見た目をしています。
乾燥の度合いによって色が変わり、乾いていると白っぽく、湿っていると茶色っぽく見えます。
ただし、黒っぽい耳垢の場合、年齢によって理由が異なるため注意が必要です。
年齢 | 理由 |
新生児 | 耳の中に残っていた羊水が固まったもの |
大人 | 耳の中にできた傷から出血し、血液が固まったもの |
高齢者 | 長期間にわたって耳の中に溜まっていた耳垢が変色したもの |
耳掃除をした翌日に黒い耳垢が出てきた場合、出血によるものと考えられます。
また、以下のような耳垢は疾患が原因であるおそれがあります。
耳垢の色・状態 | 病名 | 症状 |
黄色っぽく粘り気のある膿性の耳垢 | 急性中耳炎 | 耳の痛みや聞こえにくさ |
白色や黒色の耳垢 | 外耳道真菌症 | 痛みや痒み、外耳道の腫れ |
黄緑色をした膿性の耳垢 | 悪性外耳道炎 | 外耳道の腫れや聞こえにくさ |
血液混じりの膿性の耳垢で悪臭を伴う | 悪性腫瘍 | 痛み |
自然治癒する疾患もありますが、早めに治療すれば重症化を防げます。
色以外にも、耳やあごの痛み、発熱や痒みなどさまざまな症状を伴う場合、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。
お風呂のあと耳が聞こえにくくなるのはなぜ?
入浴や洗髪の際に外耳道に水が入り込んで鼓膜に水が付着すると、詰まった感じがして聞こえにくくなります。
濡れてやわらかくなった外耳道の皮膚は傷付きやすく軽い刺激でも炎症を起こしやすいため、水気を取り除くために綿棒や耳かきを使うことはおすすめできません。
20〜30分ほど経てば自然と水分が蒸発するので、できるだけ触れないようにしましょう。
ただし、大量に詰まった耳垢が水分を吸収して膨張している場合、外耳道が詰まってしまいます。
膨張した耳垢を自分で取り除くことは難しいため、詰まった感じが1日以上続く場合は専門医を受診しましょう。
耳垢がごっそり取れるときは注意が必要
この記事では、耳垢を自分でごっそり取るべきではない理由を解説しました。
耳垢は、本来ならターンオーバーによって自然と耳の外に排出されるので、自分で耳掃除をする必要はありません。
無理に自分で耳掃除をすると、かえってトラブルに繋がるおそれがあります。
ただし、日常的にイヤホンや補聴器を装着している人や高齢の人などは、耳垢が溜まりやすい傾向にあります。
病気によって耳垢がごっそり取れる場合もあるため、異変を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。
できるだけ耳にやさしい方法で耳掃除をしたい人には、快適生活の「電動らくらく耳そうじ器」がぴったりです。
やわらかい弾性素材でストッパーも付いているので、小さな子どもや高齢者がいる家庭にもぴったりです。
耳を傷付けずに自分で手入れをしたい人は、ぜひ快適生活の「電動らくらく耳そうじ器」をお試しください。
>>快適生活トップページ<<
>>他のお役立ち情報はこちら<<